職員に囲まれて死んでもらいたい

三輪 誠

認知症にガンを併発したおばあさんはデイケアで点滴を受けていました。
ひどい衰弱ぶりです。

昔、ご主人を自宅で看取った方です。
年月が経ち、今度は自分が介護を受ける立場になりました。
その方が今にも亡くなりそうな感じで寝ています。

スタッフの間で、「送迎中に死んだら恐い」「いつまでデイケアを続けるのか」という疑問が湧いてきました。

私はその意見をお嫁さんに伝えました、
お嫁さんは「わかりました。こんなに悪くなっても通わせていただいて嬉しかったです」と納得されました。

そして続けて言いました。
「先生、夕方私が帰ってきて、もしも冷たくなっていたら許してください」
「先生もご存知のように子供に手がかかる頃で、長く会社を休んで首になったら困ります。明日、明後日と言うなら有休をとりますが、いつかわからないなら仕事は続けます」

お嫁さんは私の娘の同級生の母親でしたので、事情はすぐにのみこめました。
私はスタッフを集め、お嫁さんの心情を伝えました。
そして送迎車に看護師を同乗させることでもう少しデイケアを続けることにしました。
しばらくして、いよいよということになりデイケアを中止し間もなくご臨終を迎えました。
ちょうどお嫁さんのいる時間でした。

後日お嫁さんが挨拶に来て「実は夕方帰宅したら冷たくなっていたではおばあさんがかわいそうで、それよりも皆さんや先生がいる場所で死んで欲しかった、スタッフの皆さんには負担をお掛けして申し訳なかった」と打ち明けてくれました。

私は他人の痛みが理解できる三輪医院のスタッフの素晴らしさに改めて感動しました。