サービスはスピード

まだ介護保険が始まる前のことです。

「先生・・とこずれが出来てしまいました・・」
いつもにこにこしているお嫁さんがうなだれて訴えました

「・・とこずれだけは注意していたのに・・」
ガーゼをそっと剥がしながらしきりにつぶやくのでした。

「大丈夫ですよ。エアマットを入れましょう。」
そうは言ってみたものの当時エアマットは貴重で、社協に連絡し、偶然空いていれば借りられるというしろものでした。

その場で電話。折りよくすぐに手配しますとの返事。よかったですねなどと話しているうちにヘルパーさんが二人で到着。マットを広げ、空気を入れ始めた。

「まさかこんなに早くくるとは、しかもまだ先生がいるうちに。」
お嫁さんの顔にやっと笑顔が戻りました。

それどころか、エアマットの空気がうまく入らず大騒ぎになり、終了したころには全員大爆笑でした。
「よかった。早くて。」この一言が笑顔の理由でした。
介護者は介護に熱中すればするほど社会と疎遠になります。そんな時のサービスはスピードが大切です。
「私はまだ見捨てられていないのだ。」「私はまだ社会との接点があるのだ。」「みんな真剣に心配してくれているのだ。」この実感はスピードに比例して増すはずです。